アトピー性皮膚炎とニキビを併発してしまった場合、効果的に肌を改善させるには、漢方を服用するという手があります。
漢方薬によっては、アトピー性皮膚炎にも、ニキビにも効果のあるものもあります。
長引くアトピー症状や、ステロイド薬の使用にうんざりしてしまった場合や、ニキビもアトピーも改善が見られず落ち込んでいる場合など、検討してみてはいかがでしょうか。
アトピー性皮膚炎でニキビがある場合に効果のある、おすすめの漢方など詳しくご紹介していきます。
アトピー性皮膚炎改善と、ニキビに効果のある5つの漢方
漢方ではひとりひとりの症状や体質に合わせ、東洋医学ならではの陰陽五行や気血水(津液)、虚実などの考えを利用しています。
アトピー性皮膚炎の肌は、乾燥タイプと湿潤タイプの2つに分けられます。
さらに、熱を伴っている場合・冷えている場合と細かく分類されていきます。
下記は、アトピー性皮膚炎の治療によく使われている漢方の中でニキビ改善に効果があるものです。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
10種類の生薬が配合された漢方です。
体を温めて皮膚症状を改善しむくみにくくする効果があります。
冷え性によるアトピー・湿疹・アレルギーによって繰り返すニキビに処方されます。
虚弱体質の方には合いません。
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
体の熱を冷まし、清熱作用があり、炎症や喉の渇きに効果があります。
アトピーによる肌の乾燥を改善させ、潤いを与えます。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)
体内に熱がこもりやすい人に処方されます。
血液の流れをよくして皮膚の炎症を抑え、新陳代謝を活発にして、老廃物の排出を促す効果があります。
アトピー性皮膚炎や、ニキビの炎症、慢性鼻炎の改善に効果があります。
貧血・冷え性・胃腸が弱い人には向きません。
温清飲(うんせいいん)
ほてり・のぼせなどの体内の熱を冷まし、血液の巡りを良くして肌の乾燥を改善させます。
また、ホルモンバランスを整える作用もあるため、ホルモンバランスの乱れによるニキビを改善させることもできます。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体の過剰な熱を抑えて炎症を改善させる効果がありますので、冷え性の人には向きません。
じゅくじゅくしたアトピー性皮膚炎、季節の変わり目に悪化する場合などに処方されます。
これらの効果効能を見て選んだとしても体質に合わないと悪化させてしまいますので、医師や薬剤師の指示を守って使用するようにしましょう。
漢方の考え方について
体質を見極めて処方される漢方薬ですが、どのように分けられているのでしょう。
詳しく見てみましょう。
陰陽
体質や病気の進行などを判断します。
陰・・脈が遅い・低血圧・冷え性・顔色が青白い・下痢気味
陽・・脈が速い・高血圧・暑がり・顔が赤い・便秘症
虚実
体力や体質、抵抗力を判断します。
虚・・細くて抵抗力のなさそうな人・疲れやすい・食欲がない・下痢をしやすい
実・・体格がよく抵抗力がありそう・疲れにくい・食欲旺盛・便秘になりやすい
気血水
この3つの要素によって、不調の原因を判断します。
気・・目には見えない体内のエネルギーで、元気・気力などを言います
血・・血液を指しており、体の隅々に栄養を送るという意味で見られます
水・・体内の水分(リンパ液や消化液など、血液以外の体液)
これらの巡りや循環、バランスなどからも判断されます。
漢方の正しい服用方法は?
漢方薬は、ゆるやかに体に効いてくるため3ヶ月~6ヶ月飲み続けて様子を見る必要があります。
決して安いものではないため、1ヶ月飲んで効果がなかった!といって服用をやめてしまう・・という人も多くいます。
しかし、1ヶ月で効果が出ないのは当たり前のことで、これから少しずつ効いてくるので気長に待ちましょう。
また、ゆるやかに身体に優しく効き目が出るとは言っても、体質に合わないものを選んでしまうと副作用の危険性もあります。
体長に異変を感じたときは服用を中断し、医師に相談しましょう。
服用方法としては、食前または食間の空腹時に飲むのが一般的です。
食間とは、食事中ではなく食事と食事の間の時間に飲むということですので間違えないようにしてください。
水または白湯で飲みます。「〇〇湯」という名前のものは、お湯に溶かして飲むと体に吸収されやすいとされています。
くれぐれもお茶やジュース、牛乳などで服用しないようにしてください。
効果が弱くなったり、得られなくなることがあります。
体に合った漢方は、味も飲みやすく感じると言われることがあります。
しかし、酸味が強いものや、苦みがあるものなど、飲みにくいものが多いのも事実です。
お湯に溶かして飲みにくい場合は、溶かさずに服用しましょう。
漢方薬を服用するから西洋医学の薬は必要ないということはありません。
医療現場でも、それぞれの得意分野を生かして使われることが多く、アトピー性皮膚炎の場合は、漢方薬を服用しながらステロイド薬を塗布することは不自然なことではありません。
むしろ、肌状態を見てステロイド薬を軽いものに変えていくことができるため、相乗効果で効果があると言えるでしょう。
しかし、組み合わせや体質などによっては副作用が起こることもありますので、薬剤師に相談をしましょう。
まとめ
アトピー性皮膚炎でニキビができた人におすすめの漢方薬をご紹介しました。
漢方薬はたくさんの種類があるため、自己判断で使わず、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
特にアトピー性皮膚炎の肌は、漢方では乾燥と湿潤の2種類に分けられます。
間違えて服用してしまうとたちまち悪化してしまいますので注意が必要です。
漢方は、アトピーやニキビに効くだけではなく、体調全てに作用して、肌を改善します。
上手に利用して、健やかな過ごしましょう。